カッコ悪く起業した人が成功する
以前、「リクルートのDNA 起業家精神とは何か」という本を読んで書評をしたのだが、これは裸一貫から大企業にするまでを書き記した伝記モノだった。
対して、今回紹介する本は、さらに実践的に起業・事業運営に関して踏み込んだものである。
著者の鈴木健介氏は、会社員としていくつか転職したのち貿易会社を起業、のちに倒産・破産をしたのち、アウトソーシング会社やコンサルティング会社を起業して現在に至る。
この本は起業・事業を継続運営するためにやるべきこと、やってはいけないことを詳しく述べている。
逃げ道の用意の仕方、営業・事業拡大の仕方、事業撤退のタイミングの考え方などを、本人の実経験とともの261ページに渡って書いたものである。
ほとんどの起業関連本が成功体験を書き記したものだったり、起業・経営に際してやるべきことを書いたものが多いのだが、「やってはいけないこと」が書かれた本は稀少な存在なので価値がある。
数年前に「バカは成功に学んで失敗し、利口は失敗に学んで成功する」という名言を記した、「起業バカ2」という本が出版され、起業に失敗した数々の経営者について述べられていたが、この「カッコ悪く起業した人が成功する」は、「失敗しないためにはどうすればよいか」を知ることができる。
実際に起業し、大企業と並ぶ高いシェアを誇る商品を取扱い、やがて破産して再起を果たした経営者が書いたものだから、とてもリアルであり著者の真摯な思いが伝わってくる。
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個人事業主として既に起業している身の私が、なぜこのような起業関連本を最近になって読むようになったかと言えば、もういちど「初心にかえって」「事業を発展・継続するためにはどうするべきか」を最近強く考えているからである。
過去の実績や職歴にこだわったり、好きなことや得意な分野にこだわったり、趣味の延長でやろうとしてみたり、商品ではなく製品を売ろうとしたりするのではなく、本当に社会に求められているニーズのあることを自らの行動で提供すべきだと考えているからだ。
他人の成功経験だけをトレースしてその気になるのは愚の骨頂であり、失敗事例から学ぶべきだと常日頃から感じている。
アメリカでは、銀行やベンチャーキャピタルなどから融資を受ける時や転職先で面接官から、「あなたは失敗したことがあるか?」ということを聞かれるそうだ。
ここで「NO(失敗したことがない)」と答えると、この人は失敗経験がない=たいしたことはやってない=何か問題が起きたときに対処する能力がない、と見なされて不合格となるらしい。
失敗は誰しもが恥ずかしいことである。
再起することができないのではないかと不安になる。
しかし、うまくやれば再起はできるのだということを知る人はあまりいない。
失敗を恐れず、「やってはならないこと」をやらず、「やるべきこと」をやって事業を進めていくことが大切である。
光文社 (2007/05/23)
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